経営環境と業績

経済・金融動向 ~ 足踏み状態の国内景気

昨年3月に発生した東日本大震災後に景気持ち直しの兆しはあったものの、その後の欧州危機の深刻化や新興国の成長鈍化などによる世界経済の減速や急激な円高進行などの影響を受けて、国内景気は足踏み状態を続けております。

日銀は「実質的なゼロ金利政策」を継続し、大震災・原発事故の影響による景気悪化、世界経済の下降れリスク、さらには根強い円高傾向・デフレ圧力もあり、金融緩和措置を漸次強化しております。

一方、系統信用事業を取り巻く環境は、郵政民営化法の見直しや銀行・信金等による農業金融分野への積極参入等により、競争は一層激化している状況にあります。

農業情勢 ~ 不透明な農業情勢と役割増す本道農業

今年度は新たな「食料・農業・農村基本計画」に基づき、戸別所得補償制度の本格導入および農業・農村の6次産業化の取組みが実施されました。

一方、昨年11月には「例外なき関税撤廃」を原則とする環太平洋経済連携協定(TPP)への「交渉参加に向けた各国との協議入り」の方針が表明されるなど、農業を取り巻く情勢は不透明な状況にあります。

そのような中、日本の食料生産基地として、安全で良質な農畜産物を安定的に生産・供給する本道農業の役割は一層大きくなっております。

昨年の農畜産物は6月の降雹、9月の台風、大雨により一部被害に見舞われ、原発事故の風評被害による畜産物価格の下落も発生しました。一方で米は2年ぶりの豊作となるなど、地域や作物による差はあるものの、総体的には平年に近い出来秋となりました。しかし冬に入り、一部地域で雪害が発生し、次年度の農作業への影響が懸念されております。

損益の状況

上記経営環境の中、平成23年度は貯金の着実な伸びと会員からの資本増強に支えられ、ALMやリスク管理に基づく運用力の強化や業務の効率化・合理化、コスト削減に継続して取り組んだ結果、経常利益99億円、当期剰余金88億円を計上しました。引き続き財務の健全化を図っていきます。

平成23年度の業績

〔貯金・NCD〕

〔貯金・NCD〕

JA貯金は、総じて平年並みの農畜産物販売代金を確保できたことや、積極的な貯金キャンペーンの実施等により、前年対比627億円(2.09%)増加し、期末残高は3兆603億円となりました。

本会貯金についても、道内JA貯金の伸びに加え、地公体他の員外取引先からの貯金増加により前期末比658億円(2.7%)増加し、期末残高で2兆5,002億円となりました。

〔貸出金〕

〔貸出金〕

貸出金は、前期末比51億円(0.9%)増加し、期末残高は5,506億円となりました。

なお、内訳はJA・系統関連企業等への貸出金が1,657億円、一般企業等(地方公共団体含む)に対する貸出金が3,849億円となっています。

〔余裕金〕

〔余裕金〕

余裕金については、預け金や固定利付債券による安定収益確保のための運用を基本に取り組みました。

有価証券残高は、前期末比681億円(10.1%)増加し、7,404億円となりました。

預け金については、同49億円(0.3%)増加し、期末残高は1兆2,544億円となりました。

余裕金全体では、同723億円(3.7%)増加し、残高は2兆12億円となりました。

〔受託貸付金〕

〔受託貸付金〕

受託資金の期末残高は、農業情勢の厳しさ等を反映して年々減少しており、前期末比では184億円減少し、2,840億円(うち日本政策金融公庫資金2,347億円、同住宅金融支援機構資金481億円)となりました。