経営環境と業績

経済・金融動向~国内景気は持ち直しの兆し

昨年末の政権交代、および日銀のインフレ目標2%の明確な設定と金融緩和策の拡大等により株価が上昇し、過度な円高が修正され、国内景気は持ち直しの兆しを見せ始めました。

一方、米国の財政問題や欧州の金融不安、新興国の経済成長鈍化傾向は継続しており、世界経済の下振れリスクは払拭されておりません

系統信用事業を取り巻く環境は、ゆうちょ銀行の業務拡大の動きや銀行・信金等による農業金融分野への積極参入、新たな自己資本規制(バーゼルIII国内基準)等により、経営への影響が増している状況にあります。

農業情勢~厳しい経営環境と役割増す本道農業

昨年は、世界的な異常気象の頻発と食糧需給の偏在化、穀物等国際価格の高騰など農業経営を取り巻く環境も一層厳しさを増した一年でありました。

本道農業は降雹、猛暑、強風等により一部被害が発生したものの、米は2年連続の豊作となり、麦も品質・収量を確保、生乳生産も概ね順調に推移するなど、総体的には豊穣の出来秋となりました。

しかしながら、本年3月、政府はわが国のかたちを一変させるTPPへの交渉参加を表明しました。

農業と関連産業への影響はもとより、医療・保険制度への影響、産地・原料表示要件の緩和、ISD(外国投資家が投資先の国の政府を訴えることができる)条項など国民の生活に多大な影響を与えることになります。

このような厳しい状況の中、わが国の食料自給率の向上や食の安全・安心を確保するため、本道農業の役割は一層大きくなっております。

損益の状況

上記経営環境のなか、平成24年度は貯金の着実な伸びと会員からの資本増強に支えられ、ALMやリスク管理に基づく運用力の強化や業務の効率化・合理化、コスト削減に継続して取り組んだ結果、経常利益100億円、当期剰余金95億円を計上しました。

平成24年度の業績

〔貯金・NCD〕

〔貯金・NCD〕

JA貯金は、生産物販売代金について一昨年並の水準を維持したことや、積極的な貯金キャンペーンの実施等により、前年対比305億円(1.0%)増加し、期末残高は3兆908億円となりました。

当会貯金についても、道内JA貯金の伸びに加え、地公体他の員外取引先からの貯金増加により前期末比693億円(2.7%)増加し、期末残高で2兆5,695億円となりました。

〔貸出金〕

〔貸出金〕

貸出金は、前期末比132億円(2.39%)増加し、期末残高は5,638億円となりました。

なお、内訳はJA・系統関連企業等への貸出金が1,748億円、一般企業等(地方公共団体含む)に対する貸出金が3,889億円となっています

〔余裕金〕

〔余裕金〕

余裕金については、預け金や固定利付債券による安定収益確保のための運用を基本に取り組みました。

有価証券残高は、前期末比115億円(△1.5%)減少し、7,289億円となりました。

預け金については、同941億円(7.5%)増加し、期末残高は1兆3,485億円となりました。

余裕金全体では、同814億円(4.0%)増加し、残高は2兆826億円となりました。

〔受託貸付金〕

〔受託貸付金〕

受託資金の期末残高は、農業情勢の厳しさ等を反映して年々減少しており、前期末比では142億円減少し、2,698億円(うち日本政策公庫資金2,278億円、同住宅金融支援機構資金409億円)となりました。